野山に入る際、皆さんはどういう風に歩いていますでしょうか?藪をかき分けながら獣道を歩くのも楽しいですが、急斜面に出てずり落ちそうになって引き返したり、どこにいるかわからなくなったことはないでしょうか。Googleマップでも地形図が出せたり、航空写真が見れますが、なかなかどこがあるきやすいか、位置がどこか当いうのがわかりにくいと思います。


国土交通省の国土地理院が管理している地理院地図というwebサイトでは、等高線の入った地図と航空写真を重ね合わせることができ、野山を駆け回るときにとても便利なので紹介します。この辺に崖あんなーとかわかります。

地図の読み方の復習
等高線図
同じ高さを線で結んだものを等高線といいます。等高線は線の薄い主曲線、線の太い主曲線に分かれていて、2500万分の1の地図では高さが10m毎、50m毎に引かれます。
そのほかの地図記号もありますが、この等高線の模様から山頂や傾斜の緩急、谷や尾根といった地形を読み取れます。
等高線は同じ高さの地点を結んだ線なので、その線沿いに歩けばほぼ平らに歩けます。逆に等高線を横切るとき、傾斜を上ったり下ったりすることになります。
その等高線を横切る数が少ない(疎)のところ下図の青い箇所は傾斜が緩いもしくは、平なエリアになります。逆に横切る等高線の数が多い(密)ところ下図オレンジの箇所は、かなり急なところとなります。そのほかの記号として歯みたいなところは崖の記号で→を入れて示しています。

勾配が読めるようになったら、谷と尾根を見つけましょう。谷は進む方向に対して両脇が上りで、下図の青い線の引いたところです。逆に尾根は進行方向に対して両脇が下りで、下図の赤い線のところです。歩くときはこの谷・尾根に沿って歩くと、傾斜もきつくなく歩きやすいです。登山道は尾根上に作られることも多いです。
※谷は落石や鉄砲水などのリスクがあるので、天候が悪いときは立ち入るのは避けるのが賢明です。

地理院地図とは
地理院地図とは国土交通省の国土地理院が管理している地図データをもとに、表示や複数の地図データを重ね合わせたり、距離や面積の計算といったちょっとしたGISの機能を持ったサイトです。ソーシャル機能はない国交省版のgoogle mapみたいな感じです。地図関係を管轄している国土地理院が管理しているだけあって、何十年前の航空写真が見れたり、土地分類、断層の位置等が見れたりします。
電子国土web 地理院地図 :https://maps.gsi.go.jp/
電子国土web 地理院地図 紹介サイト:https://maps.gsi.go.jp/help/intro/
電子国土web 地理院地図のサイトへアクセスすると最初に表示される画面

基本的な操作はgoogle map やヤフー!地図と操作方法はほとんど同じで、マウスホイールで拡大・縮小、ドラッグで画面移動を行います。
最初に表示されている地図のほか航空写真や土地条件の地図を利用する場合は表示する地図の選択をクリックし、カテゴリの中から、必要な地図を選びます。

1つ目の地図が表示されているところで、カテゴリの中からほかの地図をクリックすると、2枚目の地図が表示されます。下図のように、1枚目の地図はなくなったのではなく、2枚目の地図の下の層となっており、2枚目を非表示にしたり、透過したりすると1枚目の地図も画面に表示されます。

標準地図を1層目、2層目に航空写真を配置し、透過させてみたところの様子が次の動画です。
活用例
狩猟
電子国土web 地理院地図は距離の計測もできるのでグループ猟を行う際にどこに人を配置するか、勢子(獲物を追い立てる人)をどう動かすか等、下図のように作戦を立てる際に便利です。
下画像中央のねぐらと書いているところが針葉樹(杉)の林で冬場はその周囲の林は広葉樹なので葉っぱがなく見通しのきく林となります。冬場は身を隠せる針葉樹の中に獲物(鹿やイノシシ)がいることが多いです。そこで、緑の勢子のスタート地点からねぐらの周囲を勢子を歩かせて射手のいる方向へ獣を追い立てるという作戦図が下の図となっています。プロのハンターからしたら、ねぐらにも勢子を突入させるべきなど、意見はあると思いますが、雰囲気だけでも伝わればと思います。
狩猟の作戦を立てるのにこの地図を使うメリットは下記のものがあると思います。
- 距離がわかるので射撃範囲を決めやすい
- 起伏がわかるのでバックストップを確保しやすい
- どこに勢子が通るのかわかるので勢子を獲物と間違えて撃つ事故の防止になる
事故防止にも役立つので、グループ猟をされる方は国土地理院地図を利用されてみてはいかがでしょうか。

釣り
渓流釣りなどでは堰堤という、水を一時的にせき止めるところがいい釣りのポイントになります。しかしながら、下記の図のように堰堤そばを通る道から堰堤までの高さがあり直接堰堤に行けない場合も多いです(ルートAは急斜面を下ることになるので危険)。そこで傾斜の緩い箇所から川へ出て、目的地まで川に沿って移動するルート(ルートB)を通ります。釣りでこの地理院地図を使うメリットは下記のものがあります。
- 釣り場にたどり着くまでのルート、移動ルートの設定がしやすい
- 堰堤、道等の構造物がはっきりわかる
- 周囲の環境、険しい山間なのか、開けた谷なのか周囲の環境がわかるので、暑い時期・寒い時期どちらがいいのかといった大きなポイント選びに役立つ
今回の例では、等高線だけでもルート選定ができるのであれかもしれませんが、ルートの距離も同時に求められたりするのでこのサイトはおすすめです。

まとめ
今回は、道なき道を行く際の計画を立てるときに役立つ電子国土web 地理院地図の航空写真と地形図を重ね合わせる機能を紹介しました。地理院地図ではほかにも、地図上のルートの断面図を作成できたり、距離や面積を計測できますがそのほかの機能などは、今後機会があるときに紹介したいと思います。
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